塗装職人ではウレタン防水の次に多い施工がこのシート防水。
シート防水も色々ありますが、中でも耐久性もあって歩行にも適している塩ビシート防水(塩化ビニルシート)がおすすめです。
横浜市内の4階建てマンション屋上での塩ビシート施工の動画
塩ビシート防水は耐久性を伸ばすこの作業が命
いつまでも漏水させない継ぎ目の作業
耐久性に定評のある塩ビシート防水ですが、欠点は素材が塩化ビニルのため時間経過ととも可塑剤が抜けていくため硬化していき柔軟性に欠けてきます。
怖いのは材質そのものに耐久性があっても、硬くなることによって発生するシート同士の継ぎ目からの雨水の侵入です。
そもそも雨漏りをさせたくないために防水工事をするわけであって、雨水が浸入してきたら本末転倒です。
継ぎ目はライスターという専用の熱風溶接機で正確に溶着してつなぎ合わせます。塩ビシート防水はこの継ぎ目のジョイント部が作業の命でもあります。
製造上の欠陥がない限りシート自体に穴があいているなどはありませんが、この部分に技術的にも耐久性的にも差が出てきます。
漏水の危険性を排除する端末部の処理
一番作業処理に技術が問われるもうひとつは端末部です。端末部とは、シートの一番端っこになる部分です。劣化してくると一番はがれやすくなる場所でもあります。
材質が同じ塩ビシート同士のジョイント継ぎ目と違い、屋上の端末部は形状も去ることながら接合する相手となる素材もモルタルなど異なってきます。
端末部になる場所はパラペットや搭屋等の壁側立ち上がりで、最終的にはアルミなどの金具で止めることになるため、そのためモルタルの下地補修もおこないます。
パラペット、笠木の下地補修と処理
壁面立ち上がりの処理
作業工程
高圧洗浄
高圧洗浄機でコケや藻、汚れなどをきれいに洗い流します。この時点で漏水が推測される場所は簡易補修してから洗浄に入ります。
下地補修と絶縁シート敷き込み
シンダーコンクリートなど、屋上が凸凹だったりして荒れていてそのまま施工をするとシートに損傷が出てきてしまいます。ましてその上を歩くようなことがあれば、切れや摩耗などをして長持ちしません。
そのような下地の影響を受けないように、シートを貼る前にはシンダー目地のシーリングと下地のモルタル補修後に絶縁シートを貼ります。いずれも屋上面は平均的に平ら面が理想です。
また屋上の現状がゴムシート防水などで、既存の防水層からのフクレが生じている場合は、切開するなどフクレを補修してから、絶縁シートの作業に入ります。
シンダーコンクリート目地、モルタルの下地補修
切開してのフクレ等の補修
ドレン回りの下地補修
絶縁シート敷き込み
機械固定工法のディスク盤・塩ビ鋼板設置
絶縁シートの上に塩ビシートを貼るためにディスク盤を取り付けます。
壁面立ち上がり部分やフェンスや看板架台の入り隅部には塩ビ鋼板アングル材を取り付け固定します。
塩ビシート貼り
塩ビシートを敷き込み、シート同士のジョイントを溶着接合していきます。平場はシートの下にある円盤状の形をしたディスク盤にIH誘導加熱機を当てて溶着し貼りつけていきます。
繰り返しますが、塩ビシート防水ではこのジョイント部分と端末部の作業で耐久性が左右されます。
漏水しやすいフェンスや看板架台の処理
フェンスや看板架台がある屋上も少なくありません。防水部と鉄部の接着面が錆びて、そこから漏水する場合もあります。
看板の撤去や再設置する場合も含めて、可能な限り外して防水処理をします。一般に看板の架台とか、屋上に凸凹などがありすぎるとコーナーのある分だけ貼り合わせや継ぎ目が多くなるので、その場合は液状のウレタン防水材料の方が適している場合もあります。
平場は塩ビシートで施工して架台のみの施工はウレタン防水など、現状の状況によって、防水種類それぞれのメリットを最大限生かして分けて施工することもあります。
看板架台の塩ビシート
フェンス架台のウレタン防水
排水口の改修用ドレン取り付け
排水口まわりも漏水場所のひとつです。掃除などのメンテナンスを長期間せずに、枯れ葉よけのストレーナーどころか、その下の塩ビ管なども詰まらせてしまうと後々大変です。
メンテナンスは大事ですが、それに並行して落ち葉や泥で詰まりやすい排水口のドレンも詰まりにくいものに交換します。
フクレを避けて耐久性を伸ばす脱気筒
下地に絶縁シートなどを貼って下地からの湿気を逃がす「通気緩衝工法」は、塩ビシートを貼り付け後に穴を空けて脱気筒を設置する必要があります。脱気筒は下地からの湿気でフクレが生じることによって塩ビシートが切れて漏水につながらないように必ず設置しなければないらないものです。
設置後は漏水につながる可能性を排除するため、念入りな溶着処理が必要になってきます。