涙を見せていましたね。
旭化成の社長さん。
担当責任者にデータの偽装をされてしまったような感じで、まるで被害者のように思えた人もいるかもしれません。
でも、これ暗黙の了解ですよね。きっと。
実際に施工した担当者にとってみれば、予算が少ない中での杭打ち工事は、コスト的にも工期的にも相当厳しかったはず。
これを社長さんが知らなかったはずはないのです。
これは三井住友建設や旭化成建材の社長さんにも言えることだと思います。
「とても厳しいとは思いますが○○円で工事をしてくださいね。でも工事は完ぺきにお願いします。」
というように、どの社長さんも欠陥が発生しないような表現に配慮するものの、金額と工事が釣り合わないことは、どこかで感じているはずだと私は思ってます。
まさに「暗黙の了解」です。
現実には社長さんというよりかは、どの会社も組織的な体質で長年そうしてきたのが、今回ようやくおおきな問題として表面化してしまったのでしょう。
データの改ざんとかプリンターの故障とか、責任者が休んでいた事とは関係ありません。
元はと言えば、下請け業者への施工予算に無理があったため、杭が支持層に届いていなかったような「手抜き」が行われてしまったということだと思います。
さまざまなことを理由に挙げて、「手抜き」という言葉を使わないようにしていますね。
施工業者にとって、これ以上イメージが良くない言葉はないですから。
そういえば、私も大手塗装会社の下請けとして働いていたころ、同じような境遇でした。
とてもとても厳しい予算で家1件を塗らされるわけです。
誰が見ても十分な質が保てる施工は出来ないレベルです。
まともに施工すれば確実に赤字。
その経営方針を大手だからといって、社長が知らないわけないのです。
でも下請けにはきちんとした工事をしろと指示するので、たとえそれが原因で何か問題が起こったとしても、責任は下請けにすることができる。
今回の問題も、問題のすり替えをしているようで、私には今回の涙について、余計悪質さを感じてしまったのですが、見ている人はどう映ったのでしょうか?
社長さん自身の流した涙は本当だったとしても、現実には昔からの組織的な悪習慣に慣れすぎマヒしてしまって、社長さん自身も少し被害者意識になっている。
もし社長さんにとって施工現場の事までは把握していなかったとしても、いずれにしてもトップの責任になるほどの問題です。
それにしても不思議ですよね。
支持層に届いていなかったデータだけが無くて、偽装や転用されていただなんて。
思うに、すべてのデータは残っていて、届いていない手抜きのデータは公表できないから、故障や紛失などの理由づけをしているのでしょうか。