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神奈川県

鉄筋コンクリート4階建てマンションの屋上防水

種別防水
箇所屋上
施工前 施工後

現地調査診断と見積り

今回は川崎市にある鉄筋コンクリートの4階建てマンションの屋上防水の現場です。
既存の防水もシート関係の防水層ではなくウレタンとなっているので通気緩衝のためのシートの貼り付けや、脱気筒の取り付けはありません。防水職人にとって一番負担がすくないタイプの現場です。

こちらのお宅はパラペットタイプの屋根で、加硫ゴムが敷いてある4階建てのマンションでした。オーナー様が4階に住んでいらして、屋上の状態が気になりご連絡を。
「寿命だと思うんだけどさ、とりあえず見てみて」とおっしゃり、見せて頂いたところ、ところどころ穴が開いたところをオーナー様が補修された跡があります。オーナー様は非常に親しみやすい性格の方で、お話がしやすくオーナー様のご要望をいろいろとお聞きすることができました。

実はこの穴が開いているところは、鳥害によって開いた穴です。鳥が何のために穴をあけるのかは分からないのですが、防水層をつついて穴をあけてしまいます。

加硫ゴムは、自転車のタイヤ内にあるチューブのゴムくらい柔らかいゴム状ですので、非常に破れやすく、保護剤(トップコート)の効果が薄れた加硫ゴムは鳥につつかれるとやぶれてしまうのです。そのため、こうした防水処理を施したパラペットは、通常5年に1回は保護材を塗らなければなりません。

ですが、それはあくまでも任意なので業者によってはお客様に「保護剤を塗る」ということを伝えないところもあるくらいです。任意とはいえ、保護剤を塗ることはこうした鳥害から屋根を守るためにも必須と言えます。

よく防水工事の10年保証などがあると思うのですが、この10年保証はあくまでも5年ごとに保護剤を塗った上の保障なのです。しかし、ほとんどのお客様が保護剤を塗ることを知りません。こちらのお客様も、保護剤は塗っていませんでした。

最初は加硫ゴムを剥がして、防水層を作り直す工事のご提案をさせて頂いていたのですが、費用的に難しいとのことでしたので、何か他の方法は無いかとご相談が。

そこで、加硫ゴムの上にウレタン塗膜防水を密着させる方法のご提案いたしました。もちろん、防水の効果として一度剥がしてしっかりと貼りなおしたほうが、全体的に密着させることができるため最良ではあるのですが、お客様のご予算もあります。

また、幸いなことにこちらのお客様の屋上は、そこまで加硫ゴムに浮きもなかったためウレタン塗膜防水の工事をすることが可能でした。

ただ、ウレタン塗膜防水の施工には欠点もあります。利点だけでなく欠点についてもきっちりとお話させて頂いた上で、お客様に今回の工事をご決断頂きました。

お客様に気持ちに寄り添い、正しい方法を選んで頂くために利点だけでなく欠点も伝えることで、お客様の家にぴったりな工事をすることができます。

アルミ笠木取り外し

最初に掃除から取り掛かる…といきたいところですが、笠木(パラペット)にアルミ笠木がはめ込まれています。最初に取り掛かる作業はまずこのアルミ笠木の取り外し作業からとなります。

このアルミ笠木を取り外すのは大した労力ではありませんが戻す時が大変です。笠木にビスで固定された金物にアルミ笠木をはめ込めば良いだけなのですが、アルミ笠木、固定された金具が長年の建物の動きで微妙にではありますが歪んでいるからです。

【コンクリート住宅の修繕と笠木取り外しの参考動画】

取り外したアルミ笠木を適当にはめ込んで行く…となるとこの歪みのせいではめ込めない箇所が出たり、隣のアルミ笠木と合わなかったり…こうなると一つ一つを総当たりではめ込んでいかなくてはならなくなり、数が多ければその分余計な時間を取られてしまいます。

台風などの風が強いと吹きあがって雨の侵入を許してしまうことにもなりかねなくなるため丁寧にはめ込んでいきます。

【笠木からの雨漏りにも注意(住宅編)・参考サイト】

雨漏りをさまざまな角度から検証 お客様に雨漏りを知っていただくために  

なので大抵の防水職人は取り外したアルミ笠木がどの位置の物か分かるように、テープ(多くの場合はパイオランテープと呼ばれる幅の広い、粘着力の強いテープ)に番号を書いて、それをアルミ笠木に貼り付けて分かるようにしておく人が多いです。

アルミ笠木を取り外す時にかなりの量の埃が出るため、掃除が二度手間にならないよう最初にこちらから手を付けるのが一般的です。

下地処理

アルミ笠木を取り外したら掃除をしていきます。職人はとにかく『二度手間』になるような段取りを嫌い、効率よく仕事するのを好むので傍から見たら些細なことでもキッチリと順番が決めており、それに従い仕事をする職人が多いです。

掃除が終わればプライマーです。笠木のウレタン防水から片づけて行きたいので、土間は塗らず周囲の笠木全部にプライマーを塗って行きます。

プライマーは接着剤そのものですが、通常の接着剤と違い完全に乾かして使う物です。とはいえ、あまり長時間放置してしまうと接着効果が無くなってしまうので、作業するまでに数日を要する場合、その箇所にプライマーは入れません。今回の現場では土間のウレタン防水作業が出来るようになるまで数日かかるので、土間は一旦無視する、という訳です。

【下地補修後のプライマー塗布の参考動画】

この現場も既存の防水がウレタンなので、通常のプライマーではなく層間プライマーを使います。層間プライマーは通常の物と比べて乾燥するのが早いので、笠木を全部塗り終わる頃には次の作業へ移れて有難いです。

笠木のプライマーが入れ終わったら、土間と立ち上がりの丁度角になる箇所、『入隅』にシールを打っていきます。このようにへっこんだ角の箇所を入隅と言い、逆に出っ張った角の箇所のことを『出隅』と言います。この入隅シールはハッキリ言って、シール材を充填したらヘラで擦り付けるだけの作業なのでとても簡単です。

が、その重要性は非常に大きく、ここにシールを打つ打たないの差は非常に大きいです。仕上がった直後はその影響を見ることは殆どありませんが、年単位で見ればその違いの大きさが分かります。

この入隅という箇所は、ウレタンを上手く塗ったように思えても、ちゃんと角の奥までウレタンが入っていかない箇所。ウレタンが入っていかないということは、躯体面とウレタンの間に隙間が出来ている状態の箇所があるということです。

そのような箇所があると、そこに水が回ってしまい雨漏りの原因にもなりますし、中の空気が膨張し膨れてしまいウレタンの劣化へと繋がっていきます。そのような事態を避けるためにも、この入隅にシールが大事な工程であることが分かるかと思います。

【クラック処理とシールの参考動画】

入隅だけでなく土間の処理もしていきます。

写真で見て分かる通り、等間隔で線状にウレタンの色が変わっている箇所があるのが分かるかと思います。これはウレタンが経年劣化を起こしてしまい、ウレタン層の下の通気緩衝のシートの端末に貼ったテープが見えてしまっている状態だからです。

すぐに土間のウレタン防水が出来れば良いのですが、工程の順番通りにやるのが工事というものです。先に笠木から手を付けなければならず、土間には手をつけられません。その間に雨に降られても困るので、ウレタンを増し塗りし雨養生をして笠木へ取り掛かります。

笠木・立ち上がりウレタン処理

下処理が終わったら実際にウレタンを塗っていきます。

最初に取り掛かるのは笠木・立ち上がりからです。既存のウレタン層があるため、ここではガラスクロスを貼る必要はありません。既存のウレタンの上から新しいウレタンを重ね厚みを付けて行きます。1層、2層とウレタンを入れてトップコートを塗ってお終いです。

写真で使われているトップコートは、通常の物よりも値段の高い物を使用しています。

この保護剤に当たるトップコートにも様々な材質があり、アクリル、ウレタン、シリコン、などが一般的です。このフッ素というのはこれらの中でも一番高価な物で、値段が張る分その効果は非常に高いです。他の材質の物が安かろう悪かろうという訳ではなく、耐熱性、対候性に優れると言われ、その効果は10年継続します。

土間ウレタン防水

立ち上がりのウレタン防水が終わったら土間にウレタンを流していきます。写真の現場のように、屋上に物が無い現場は非常に作業が楽で、尚且つ効率的に進められて良いですね。

オフィス街の屋上の防水工事では、大量の室外機や大きな空調設備の機械、電気設備、中には太陽光パネルなどが所狭しと並べられ、下処理からウレタン1つ流すのも手間です。

【ウレタンを流す作業の参考動画】

注意する事と言えば、材料を攪拌する際に比率を間違えない事、硬化不良を起こさないようにしっかりと材料を攪拌する事。他は脱気筒をウレタンで汚さないようにする事くらいでしょうか。

土間も笠木・立ち上がり同様ウレタンを1層、2層と流せば完了です。

トップコート塗布・原状復帰

土間のウレタンが完全に硬化したらトップコートを塗っていきます。
ただ塗るだけ、と言ってしまえばそれまでですが屋上に何も無い分、トップを塗ったローラーの痕が目立たないように丁寧に塗っていきます。

【ウレタン屋上防水とトップコートの参考動画】

脱気筒の周りを塗らないのは、脱気筒の根本はどうしてもローラーを当てないで塗ることが出来ないからです。脱気筒だけでなく、汚してはいけないような箇所の近くを塗る時はローラーではなく刷毛を使って塗ることが殆どです。

トップを塗り終わったらアルミ笠木を下に戻して防水工事は終了となります。

仕様

補修等

  • 既存アルミ笠木脱着
  • 入隅シーリング
  • 既存防水層不良個所補修
  • 排水ドレン補強
  • 脱気筒部補強

屋上防水(立ち上がり防水含む)

サラセーヌES工法 ESSD-AK25Tフッ素サーモ仕上げ(アンテナ架台含む) 220㎡