街中で見かけるALCに均等にタイルが貼られた建物は、高級感と洗練された印象を与えます。
ALCタイル張りの建物について、防水性を含めた観点から深掘りしてみました。

ALCにタイルを貼るメリット
ALCにタイルを貼る一番のメリットは、やはりその見た目です。タイル壁はとてもおしゃれで、美観を高めてくれます。
また、傷みを遅らせる効果も期待できます。ALCは被膜処理が必要な素材であり、外壁塗装の頻度が関係してきますが、タイルを貼ることで外壁の耐久性が向上します。
タイルは塗膜よりも丈夫で、外壁の劣化を抑える役割を果たします。
しかし、タイル張りにはシーリングなどの付随する工事が必要となるため、総合的に見た場合、タイルのメリットは主にビジュアル面にあると言えるでしょう。
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タイル張り建物の懸念点
タイル張りの建物には、いくつかの注意すべき点があります。関東地方のように地震が多い地域では、ALCのタイル張り建物のタイルが一面で剥がれ落ちることがあります。
東日本大震災の際にも、こうした事例が見られました。これはALCとタイルの動きが合わないためです。

過去には、ALCの3面張りタイル工法を避けるよう指導されていましたが、それでも施工時の注意が欠けると地震時にタイルが剥落し、全面的な貼り替えが必要になるケースもあります。全面剥がしと貼り替えには多額の費用がかかるため、慎重な判断が求められます。
建物の立地条件もタイルの耐久性に大きく影響します。たとえば、前面に大型ビルが建った場合や、バス・トラックが頻繁に通る場所、列車が近くを走る地域では振動によってタイルが割れることがあります。このような振動には特に注意が必要です。
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改修工事後の不具合の可能性
ALCタイル張りの改修工事を行った場合でも、10年以内に不具合が発生することがあります。その原因の一つは目地の設計です。縦3m × 幅600mmの範囲におけるタイルの目地の配置次第では、ひび割れが生じる可能性があります。
例えるなら、ぬかるんだ地面の上にコンクリートを打設しても、地盤が動けばコンクリートが割れるのと同じです。このような状況が建物のタイル部分でも起こり得ます。
10年後の状態は、施工技術や管理体制によって大きく左右されます。一部の建物では何の問題もなく耐久性を維持できますが、適切でない工事が行われた場合、深刻な問題が生じることがあります。

職人と施工会社の重要性
施工を担当する職人や管理会社の技術力は、建物の品質に直結します。一概にどの工法が優れているとは言えませんが、施工管理や職人の技術次第で結果が大きく異なります。
過去の事例を見ても、建築業界では一つの技術を実際に数十年使用してみないと、その真の価値や欠点が分からないことが多々あります。
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タイル張りのメンテナンスと費用
タイル張りの外壁は美観を保ちやすく、手入れも少なく見えます。しかし、何か問題が発生した場合、タイルの上から防水処理を行うには多額のコストが必要です。RC(鉄筋コンクリート)は注入工事が可能ですが、ALCではそれが難しいため、修繕費用がさらに高くなる可能性があります。

タイル張りの外壁や防水、改修工事をお考えの方は、信頼できる専門業者にご相談されることをお勧めします。
弊社では、それぞれの外壁や防水に適した最良の施工方法をご提案いたします。