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今回は、屋上の防水工事についてお話し致します。
ご紹介するお客様は、2年前にも弊社に防水工事をご依頼頂いたマンションのオーナー様でした。
2年前にご依頼の際に、屋上の半分だけ防水工事をしたのですが、今回はもう半分の工事のご依頼です。
実はこの半分は4年前に他の業者さんが工事をした部分でした。
なぜ、4年しか経っていないのにも関わらず、塗装職人で再工事することになったのかをご紹介いたします。
床防水工事の2年ぶりのご依頼
2年前に屋上の半分を床防水したオーナー様から、再度ご依頼がありました。
もう半分の工事をお願いしたいということだったのですが、その半分は冒頭でお話ししたように、4年前に他社が工事をした部分だったのです。
2年前に弊社で防水工事(通気緩衝工法)をした時に、すでに他業者が工事した防水面には亀裂や破れがあったので、簡易的な補修工事はしていたのですが、この2年でさらに亀裂が入り、床面に水もたまりやすくなってしまったとのことでした。
拝見してみたところ、弊社が2年前に床防水したところに関しては、亀裂もなく2年前の美観を保っています。しかし、4年前に他社で防水工事をしたところは、何か所も亀裂が入り、オーナーさんがアルミテープで補修をしてある惨状でした。
古いマンションなので、いろいろ不具合が出るのは仕方ない事ですが、とはいえ4年前の工事なので、ここまで亀裂などが起きるということは工事方法が適切でなかったということです。
工事費用としては、最初は弊社よりも安いことで工事依頼をしたものの、オプションなどを含めると弊社と大差はなかったとオーナー様はおっしゃっていました。
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床面に溜まる水を解消させる工事
今回の工事で、オーナー様がもっとも気にしたのは、雨漏りと床上に溜まる水についてです。
まずは雨漏り原因から工事します。
工事の説明をする前に、床の状況をご覧ください。
上記の写真は、弊社が2年前に防水工事した際に、他社のやったもう半分の床にパッチで補修工事をしたものです。
長方形にしたモスグリーンのパッチで、亀裂を抑えています。
しかしその後、補修箇所以外にも亀裂が多数入り、雨漏りへとつながってしまいました…。
そこで、今回新たに入った亀裂部分を開いて床材を剥がしてみることにしたのです。
この写真は実際はがした床材です。年輪のように層状になっている防水材や下地が分かりますでしょうか。
本来であればこの層は、きちんと密着して一つになっていなければならないのですが、うまく接着しておらず剥離しています。
こうした剥離により、防水材が浮く原因となってしまうのです。
また更に下を見ると、床スラブ(鉄筋コンクリートで造られた屋根材)にクラックが入っています。
床スラブは、階下の天上とも一体になっているので、この部分にクラックがあると水が入り込みやすくなり、雨漏りとなるのです。
また、層をよく見るとアスファルト系の層もあり、そこに絶縁処理をなにもせずに重ねてあります。
さらに、もともとはシート防水だったので下地がシート防水用のものです。そこにウレタンを塗っただけの状態のため、密着していませんでした。
異素材の重ね合わせはうまく処理をしないと、層と層の密着が弱く水が浸入しやすくなっています。
つまり、防水層の表面に亀裂が入っていたこと、防水層が下層とうまく密着していなかったこと、そして最下層の床スラブにはクラックが入っていたこと。これらの悪い状態が3つ重なり、雨漏りになってしまったのです。
また防水床の上に水が溜まりやすくなっているのも、追い打ちをかけました。
水がずっと床上にあることで、乾く暇なく水が浸入してしまっていたのです。
オーナーさんが、亀裂部分をアルミテープで塞ぎ、テープの剥離防止のためにブロックを重石代わりとして設置していましたが、雨水の浸入を防ぐことはできませんでした。
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今回は、スラブのクラックを先に補修します。
これでひとまず、雨漏りをしのぐことができるでしょう。
集水口の工事
クラックを補修し雨漏り箇所を塞いだら、次は床上に水が溜まらないための細工工事です。
床の水たまりを避けるためには、水を集水口に向かって流すため、集水口部分を床面よりも下げます。
下げるためには、集水口の周りの床面を座彫り(集水口の周りだけ浅く掘り下げること)することが必要です。
さらに、もともと取り付けられていた改修用ドレンも外し、新しいドレンを取り付けました。
新しい改修用ドレンを取り付けることに関しては、オーナー様が「まだこのドレンは4年前に取り付けたばかりのものだから、再利用できませんか?」とおっしゃられていたのですが、この改修ドレンのままでは床面よりも集水口を低くすることはできません。
ドレンを取り外して、座彫りし、その後新しいドレンを取り付ける必要があるのです。
丁寧に理由と工事方法をご説明し、オーナー様にも納得いただけましたので、しっかりと工事をし、集水口を低くすることができました。
防水を重ねることの難しさ
床面の防水工事というのは、非常に難しいものです。
新しい建物に、初めて防水層を撒くのであれば、ここまで悩むことはありません。
塗装職人が工事で請け負うのは、再塗装です。再塗装ゆえに、下の防水層がどのようなタイプのもので、何を重ねることができるのかの判断が必要となります。
僕は、こちらの工事をお引き受けして、前回他の業者が行った床面を拝見し、重ねられた防水層についていろいろ考えました。
しかし、前回の業者がなぜこのような防水材の撒き方をしたのかが、どうしてもわからないのです。
どんな業者でも、床を剥がしてみれば防水シートが使用されていることはわかるでしょう。
しかも、防水シートの上にウレタンを重ねても、うまく接着しないことは周知の事実です。
もしかすると、その業者の得意な工事方法にするために、このような無理矢理重ねるという手法を取ったのかもしれません。
一応、下地材をアスファルトとの縁を切るために塗っていますが、うまくいっておらず層が分かれてしまっています。
こちらの建物のように、床に重ねてきた防水材によっては、修復が難航する場合もあるのです。
ある意味、今回のこの防水床は安い工事の典型といえるかもしれません。
わずか4年で不具合が多発し、前回以上の費用をかけて工事することになってしまいました。
やはり工事費用の安さは、安く耐久性のない建材を使っていたり、工程の簡素化していたりするなど、必ず理由があります。
安くて良い工事はないのです。
関連記事 費用の安さに特化した工事?工事の見るべきところとは
前に、他のお客様でお見積りを出した際に「将来お金がかからないようにするために、ここでお金をかけようと思う」とおっしゃった方がいました。
この視点が、将来的にはコストを下げることになるのです。
火消しのように、「トラブルが出たら潰す」という工事は、その場しのぎなため長持ちはしません。
家は一生ものです。
だからこそ、将来を見据えてどこでお金をかけるのか判断する必要があります。
屋上防水は床面だけでなく屋上全体を考えることが大切な工事
屋上防水は、何も床面だけを工事すればいいわけではありません。
屋上の設置物などからも、床面に影響がでる場合があります。そのため、工事をする際には状況把握が大切なのです。
実は、今回の工事の時に鉄製のフェンスが非常に気になりました。フェンスの根元に薬剤を入れて少しでも腐食の進みを遅くするための対策は取らせて頂いたのですが、撤去はしないとのことでしたので、経過の見守りが必要です。
鉄フェンスは、屋上との結合部分にサビが出ると爆裂を起こしたり、壁の中にサビが浸潤したりします。そしてこれが結果的に、防水面に影響を及ぼすのです。
屋上の防水処理をした床を持たせるためにも、トラブルになりそうな要因は排除する必要があります。
そのため、ただ言われた箇所を工事するだけではなく、工事する際に気が付いたことをしっかりとオーナー様に報告することが必要だと、僕は思うのです。
防水工事は将来を見据えた選択が必要
塗装の中でも、防水工事は薬を建物に塗布することと同じことだと僕は思います。
1回1回の投与を慎重に行わないと、次の投薬に悪影響が出るからです。
薬なので、建物によって「合う、合わない」もあるでしょう。それゆえに、しっかりと建物の状態を把握して薬を選ぶことが大切なのです。
塗装業者は、提案はできますが判断はできません。判断できるのは、お客様だけです。
防水材を重ねることは、本当に難しい工事ですので、できるだけ工事の現場経験を積んだ業者に依頼して下さい。
技術力の高い業者に頼み適切な工事をすれば、屋上防水は耐用年数分持たせることができるでしょう。
無駄な工事をしないためにも、金額だけを見ず工事の内容で比べてみてください。