東京都中野区のマンション屋上で防水工事を実施しました。本工事では、平場(屋上の床面)には「サラセーヌQVーAK50Tサーモ工法」を、立ち上がり(壁面)には「サラセーヌタフガイSD立ち上がり工法」を採用しました。既存の防水層が経年劣化しており、膨れや亀裂が見られる状態だったため、適切な下地処理を行い、新たな防水層を施工しました。
施工前の屋上は、植木鉢や物置などが多く置かれており、防水層の状態を確認することが困難でした。まずは荷物の撤去を行い、下地の状態を確認しながら施工計画を進めることが重要です。それでは、各工程を詳しく解説していきます。
施工前
屋上全体の状況
施工前の屋上には、植木鉢や物置が多数置かれており、施工スペースの確保が必要な状況でした。さらに、施主がDIYで防水塗料を塗った跡があり、既存防水層の状態が不明瞭な状態でした。そこで、施主と相談し、まずは屋上の荷物をすべて撤去してもらい、作業の準備を整えました。

階段室上の庇の状態
屋上には階段室の庇があり、この部分も防水工事の対象でした。特に笠木部分の天端には大きな膨れや亀裂があり、水が浸入している可能性が高い状態でした。このままではさらに劣化が進むため、笠木・庇・壁を一体化させる防水施工を行うことにしました。

立ち上がりの既存防水撤去
既存のアスファルト防水を撤去しました。当初は表面のみ撤去する予定でしたが、下地の状態を確認しながら作業を進めたところ、傷みが激しかったため、床面まで撤去することになりました。劣化した防水層をそのままにすると、新しい防水層が剥がれる原因となるため、慎重に判断しながら作業を行いました。

平場の既存防水撤去
防水層を剥がした後、コンクリートスラブが露出しました。既存の防水層が一部残っている部分もあり、状態に応じて適切な補修を施しました。脆弱な部分を完全に撤去し、強度のある部分を活かすことで、施工後の耐久性を向上させました。

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高圧水洗浄
防水層の密着を良くするため、高圧洗浄を行い、スラブ表面や既存防水の残った部分の汚れを取り除きました。洗浄後はしっかりと乾燥させ、湿気を残さないようにしました。

笠木・脆弱部の削り取り
既存の防水層が膨れてしまった部分や、浮いている箇所をスクレーパーを使って丁寧に削り取りました。膨れたままの状態で防水施工を行うと、新しい防水層の密着が悪くなり、施工後に剥がれや水の侵入が発生するリスクがあります。そのため、この段階でしっかりと不要な部分を取り除き、平滑な下地を作ることが重要です。


撤去作業の後、既存防水層を剥がした部分にはどうしても段差が生じてしまいます。そのままでは防水層が均一に形成されず、施工後に不具合が起こる原因となるため、カチオン系の樹脂モルタルを使用して段差を埋め、下地を平滑に整える作業を行いました。特に立ち上がり部分では、下地の補強をしっかりと行い、防水材が確実に密着するように調整しました。

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下地処理が完了した後、次にプライマーを塗布しました。プライマーは防水材と下地の密着を高める重要な工程であり、均一に塗布することで密着性を向上させます。

プライマーが乾燥した後、強度を高めるためにQVシートを貼り付け、下地を補強しました。QVシートはウレタン防水層の補強材として機能し、防水層の耐久性を向上させる役割を果たします。

防水層がしっかりと固定されるように、端部の処理を行いました。

特にMBテープ100を用いて防水層の端部を補強し、継ぎ目から水が侵入するのを防ぐ処理を施しました。

そして、ドレンを設置をしました。

また、ペンキの塗られている面や吹き付けタイルのある部分には補強クロスを貼り付けて防水層と一体化させることで、強度を高めるとともに、施工後の仕上がりが滑らかになるよう調整しました。

ここまでの工程では、既存の防水層の撤去、高圧洗浄、下地処理、プライマー塗布、補強シートやテープの施工までを行いました。防水工事では、新しい防水材を塗る前の下地の処理が非常に重要であり、特に今回は既存の防水層が劣化していたため、適切な補修と補強を施しました。
ここでしっかりと下地を整えたことで、この後のウレタン防水塗布がスムーズに進み、防水層が長持ちする施工が可能になります。次回は、いよいよウレタン防水の塗布を行い、防水層の形成を進めていきます。1回目の塗布で下地と密着させ、2回目の塗布で防水層に十分な厚みを確保することで、雨水の侵入を完全に防ぐ強固な防水層を作り上げていきます。
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