目次
一級塗装技能士が作業する鉄骨造の4階建て工場塗装
東京湾に面した鉄骨造4階建ての塗装です。
こちらは工場で外壁はALCパネルで屋根は折板屋根です。工場としては一般的によく見られる仕様の建物だと思います。
一級塗装技能士をリーダーにして複数職人が入っての作業です。
【参考動画・工場の外壁と屋根塗装】
天気が良い日も続き作業もよく進んでいます。
今回は工事期間中の途中からの作業報告ですが、足場は2月中旬に組みました。
この日も天気に恵まれ日差しが降り注ぎ作業をするとちょっと汗ばむという具合です。
折板屋根
工場の建物の屋根で一番よくみられると思うのが折板屋根です。
Wの形をしている鋼鈑なので、もし平面に伸ばしたりすることができれば見た目の面積はより大きくなります。
東京湾近くの塗装前の折板屋根はうっすら前回塗装のさび止め塗料らしき色が露出しています。
こちらの工場の折板屋根はWの形がより大きい鋼板なので、アパートなどの集合住宅によくみられる折板屋根とは違い足の平も斜めにしなければいけないなどはないため塗るときの体勢は比較的作業しやすい状況になります。
工場以外に一般的によくみられる折板屋根はボルトが突出していますが、今回の工場はボルトはありません。
よくあるのがボルトのサビだけでなくボルトを上から被せている「ボルトキャップ」が紫外線によって脆くなって劣化していたりします。
折板屋根は結構そのボルトのさび落とし作業が結構骨の折れる作業だったりするので、ない分だけまだスイスイと塗装できます。
ただWの形が大きい分だけ面積が大きくなり塗っても塗っても先が遠いですね。
【参考動画・集合住宅の折板屋根塗装】
今回は遮熱塗料を使った塗装です。
塗料は遮熱塗装の最高級ともいえる日本ペイントの「サーモアイ4F」での仕上げです。
いわゆるフッ素塗装です。
遮熱塗料の使用は温暖化対策として東京都では補助金の対象になりますが他の県では対象でなかったりとエリアによってバラバラです。
工場の場合は一般家庭よりエアコン等の電力消費が比ではないのでかなりの経費削減になるのではないかと推測できます。
こちらの現場は遮熱性能を上げるためより白い色で塗装をしています。
塗る前は塗膜が劣化して手で触るとチョーキングと雨汚染がひどくこびりついていました。
もちろん、当然高圧洗浄をしてあるのですが、それでも色褪せた折板屋根からほぼ白色の色で仕上げるためには相当な濃厚な塗料で重ね塗りをしなければ下地の色がうっすらと露出してしまいます。
白色に行くほどとても仕上がりにくいので作業も少々苦戦してます。
【参考動画・遮熱塗料「サーモアイ」の色と反射率】
ALCパネルと目地シール
今回外壁のALCパネルは水性塗料で塗ります。
パネルは60㎝幅間隔で建て込まれているため、パネル同士の継ぎ目にはシーリングがあります。
ちなみに一級塗装技能士でもある代表は昔ALCの建て込み職人をしていたこともあるため構造的な問題も社内で共有されていますが、パネル同士は接触しているため目地シールのひび割れが即雨水の侵入にはなりません。
こちらは施工前の状態です。
【参考動画・ALCパネルのシール工事】
このALC外壁を屋根の色の状況と同じく白系の色に塗装するので作業前からそうたやすい仕事ではないと推測できます。
ただ鉄骨造のALCパネルの塗装の場合は、構造的に鉄筋コンクリート造と違いデザイン的にも出っ張ったり引っ込んだり意匠性はほぼないため他の外壁に比べて塗りやすいという利点はあります。
外装からはALCパネル同士が接触しているかシールを打っているためわわかりませんが、工場内から見るとパネル同士くっついて建て込んでいる様子がわかります。
新築の建て込み時、長辺パネルの境には「トロ」と呼ばれる液状化に近いモルタルが詰め込まれています。
窓開口部は鉄骨に取り付けられたLアングル材が溶接されているのですが、ALCパネルもボルトを通してLアングル材に溶接されているので、工場内部からはそのボルトも見えているのがわかります。
シールは目地だけでなく基礎上や横目地にもあります。
それと基礎はコンクリートですが、鉄筋が露出して爆裂もあるのでこちらも念入りに補修をします。
【参考ページ・ALCのシールと補修】
ALC外壁の下塗り、一部中塗り
外壁の塗料は水性クールテクトというエスケー化研のアクリルシリコンのこれも遮熱でとても性能の良い塗料です。
先日下塗りを終えて、この時は中塗り作業の状態です。
これもまた元々の色が黄色ではあるのですが中塗りの時点ではその黄色が見えません。
それは下塗りを濃い重めの塗料で塗らないと色が被らないため、画像のようにはなりません。
ほぼ白色に見えるのは濃厚に塗っている証拠で、より雨だれ汚染や色褪せなどの退化に強い塗装となります。
また後日「施工事例」で説明しますが、シールはもちろん終えています。
ALCパネルのシールはよほど撤去する際、無理に行うとパネルを削ってしまう場合があるので打ち替えのほか増し打ちの場合ものほうが多いですがケースバイケースです。
ただパネル同士は接触しているのでシールがひび割れているとしてもすぐに雨漏りなどに直結することは考えにくい外壁です。
今回の現場のシールのメーター数は2.000メートル超です。
クラックと爆裂補修もしました。
【参考ページ・ALCパネルの塗装】
工場設備パイプ等鉄部の下塗り
沿岸地域だけに潮風は大敵です。
特に工場などは外壁周りにパイプなどもあります。
塩ビ管やステンレス製のパイプは当然さびなどは発生しませんが、鉄製のものは支持金具まで錆びているため外壁にも影響を与えかねません。
潮風で腐食している鉄部もあるため下地調整のケレンや交換工事もあります。
下地調整をして念入りにたっぷりと防錆性能の高いグレー色のさび止めプライマーを塗布しています。
町中の工場であれば塩害は無いのですが海が近い工場ではある意味鉄部の処理が肝です。
今回の工場は職種的にまだパイプ等は少ないですが、外部階段があります。
そのほかH鋼や排気口も塗膜の剥離やさびが発生しています。
まだ手を付けていない状態ですが、ここは相当念入りに研磨等の下地調整をしないとまた塗膜が浮いてきてしまうのでしっかりと作業をしていきます。
塗装作業はまだ前半ですが、後半のほうが鉄部のケレンもあるため手が掛かる作業と言えるかもしれません。
また後半、詳しい作業の様子は施工事例にてお伝えします。