本日から、新シリーズとなります。
今回は規模の大きなマンションの改修工事です。
こちらのマンションの場合は住居だけでなく店舗もあるため、前回までのシリーズで紹介していた建物よりも規模が大きく形も複雑な敷地にある建物でした。
今回の工事で一番困ったのは、次々と起こる工事中のトラブルです。
古い建物であるということや、オーナー様と店子の方の意見が合わないことなどで、工事がストップすることも。
そうしたトラブルを乗り越えながら完工しましたので、まずはどのようなトラブルがあったのかについてお話ししたいと思います。
R状になった壁面と足場を建てにくい敷地
こちらの建物は、前面がR状になっていてタイルが一面に敷き詰められていました。
Rになっている壁面というのは、通常の外壁よりも足場を建てることが難しくなります。面に対して垂直に立てることができないため、足場を細かく立てる必要がありますし、不安定な足場だからこそ、壁面にアンカーを打って安全を確保する必要もあるのです。
しかし、こちらの建物、アンカーが打てませんでした。
さらに敷地に問題があり、駐車場に足場を建てる必要があったのですが、こちらも縦列駐車でないと停められないような狭い駐車場だったため、足場を建てると車が足場に追突してしまう可能性が・・・。
そのために、パイロンなどで注意喚起をしたかったのですが、マンションに店子として入っている方から、「パイロンをおかれるのは困る」とクレームが入ってしまったのです。
足場を建てることの難しさ、敷地の問題、注意喚起ができないことなどなど。
足場を建てる段階から、本当に問題が山積みでした。
あわせて読みたい〔前回の大規模修繕ブログ〕
増築された仕様の違う階段
この建物には階段が3箇所ついており、そのうち2箇所の階段はテナントさんの正面口とスタッフ用入り口として使っているもので、もともと建物に建て付けてあったものとは1つは別でした。
なので当然仕様も違い、もともとあった階段と同じ工程で工事することができません。
また難しかったのは、色決めです。
施工内容や色味についてもオーナー様を通してテナントさんの方にご意見も頂いていたのですが、途中からオーナー様とテナントさんの意見が合わなくなり、色の変更がでるなどして現場が大混乱に。
こうしたトラブルも、工事の流れを止めてしまうので工期に大きく関わってきます。
合わせて観たいYouTube〔駅前の営業中テナントビルの大規模改修工事 足場・補修・防水・塗装 全行程〕
工事の期間
工事の期間についても、いろいろとありました。
通常、工事が始まる前に契約書などで工期を提示します。しかし、この『工期』というのは非常に予測しにくいものです。
というのも、トラブルが一つでも起きれば工期は後ろに倒れていきますし、ましてや狭小住宅などで、足場をお隣に建てなければならないにも関わらずお隣との仲が悪い場合、足場を建てることすら時間がかかってしまうことも。
また工事中に、思いも寄らぬ雨漏りや建物の破損を発見することもあります。
業者によっては、あまりにも状態がひどく手の施しようが無い場合は、時間や手間、そして費用をかけることができないため、そのまま補修箇所を放置するほどです。
これは、次で説明する足場を組む期間にも関係する話ではあるのですが、補修期間が足場の建設期限に間に合わず、しかもお客様の方で「これ以上お金はかけられない」と言われてしまいますと、修繕をせずに工事を終えるしかありません。
今回の工事でもトラブルが続いたため、あわや補修ができないかも・・・という場面はありましたが、最善を尽くしました。
塗装職人では、途中で工事を終えると言うことが無いように、どんなにひどい雨漏りだったとしても、なんとか状態を改善できるようにします。
しかし、その分やはり工事の時間がかかってしまうのです。
そうなりますと、予定していた工期をオーバーしてしまうことが・・・。
今回も、さまざまな理由で工事が止まってしまったため、工期が変わりました。
これから工事を検討されている方は、工期をできるだけ予想通りにしたいとお考えでしたら、どうかこうしたトラブルと工期の因果関係を胸にとどめて下さい。
私たち業者は、できる限りお客様のご希望にそって工期を守りたいと考えています。
そのためには、お客様や入居者様にご協力頂くことが工期を予定内に収めるために、何よりも大事なのです。
足場を建てるのは2ヶ月以内に
上記の文章でも少し触れましたが、足場を建てる期間について・・・ここで少し補足したいと思います。
塗装工事をする際、足場を組んでから解体するまでの期間は、どの業者も2ヶ月が目安です。
というのも、足場を2ヶ月以上建てておくと、工事の申請手続きが複雑化します。
職人の詰め所などが必要になったり、労働安全関係の確認事項も増えたりするのです。
そのため、こうした中規模なマンションなどの場合は、足場を2ヶ月以内におさめるため突貫工事をします。
この突貫工事と言う言葉ですが、誤解されている方をよく見かけることが・・・。
突貫工事と言う言葉は、工期を2ヶ月以内に収めるために手際よく作業を進めるための言葉で、『やっつけで適当にやるという』意味ではありません。
あくまでも短い期間で一気に完成させる工事というのが本来の意味です。
もちろん、そのためには施主様や居住者様のご協力がないとできません。
施主様に工事をご理解頂き、必要な足場を建てるためにご協力を頂くことで、足場の期限を守ることができる突貫工事をすることができるのです。
問題の多い建物でも塗装職人ではしっかりと工事致します
今回の現場は、工事が始まったことで様々なトラブルが表面化し、工期が伸びてしまう可能性や、足場の建て方によっては安全が確保されないため、補修工事ができなくなる可能性などがありました。
そんな工事が先日無事完工したので、今は少しホッとしています。
次回からのブログは、こうしたトラブルに塗装職人ではどのように対応したのかということと、足場工事、ルーフトップのアクリル板取り外し、折板屋根の塗装、雨漏り工事、外壁塗装、階段への長尺シートの貼り込みなどの工程を詳しくご紹介できればと思います。
合わせて観たいYouTube〔このビルの工程動画〕