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前回、メインの塗装工事までご紹介したマンションの塗装補修工事の現場ですが、いよいよメインの工事が終わり、検査、そして点検の段階となりました。
弊社では、さまざまな現場で工事をしています。塗装職人の工事で大事なことはクオリティです。
今回ご紹介する検査や点検は、弊社の工事に関するクオリティに大きく関わってきますので、どのような点をチェックしているのかなど詳しくお話したいと思います。
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足場解体前検査
工事を終えたら、足場を解体する前に検査を行います。
足場を組む際に外したアクリル板などは、まだ足場を組んでいるため取り付けはしません。
足場があるからこそできるチェックを、徹底的にやります。
お客様からのリクエスト通りに塗れているか、工事内容と仕上がりが相違ないかなどなど。
写真の白い天井裏のサイドに塗られた紺色は、お客様からリクエストを頂いた色です。
目安になる色味などもありましたので、色合わせしチェックしました。
また、足場があるからこそ作業ができ、確認も出来る箇所が以下の写真の高架水槽です。
普段高架水槽は、なかなか上までチェックすることはできません。
さらに、痩せていたシールも充填しなおしましたので、しっかりとシールが入りラインも綺麗にでているかどうかを確認します。
シールを充填した目地に、ひげやバリが出ていないかどうかを調べるのも大事なチェックポイントです。
前回のブログでもお話しましたが、シール材を充填した時に半乾きの状態で養生を外すと、乾ききっていないシール材がひっぱられひげのように伸びてしまうことがあります。
このひげができたということは、シール材も一緒にひっぱられたことを示しますので、せっかく注入したシール材と目地の間に隙間を作ってしまっている可能性があるということです。
隙間ができてしまうと、防水効果が半減してしまいます。
関連動画 マンションのシーリング
そのため、仕上がり具合をチェックする際に、ひげが出ているか出ていないかということは、防水効果を確認するためにも重要な確認ポイントとなるのです。
さらに、足場全体の写真もご覧ください。
建物の形が不規則だったり、アーチになっていたりする部分があるため、これだけイビツとも言える足場の形状になっています。
足場の形を、壁面の形などに合わせて建てたことで、きっちりと建物のそばにより綿密なチェックができるのです。
足場があるうちに確認する箇所としてさらに大事なのが、屋根上と言っても過言ではありません。
最近では安全上の理由などから、足場なしに屋根上に上ることが出来ないからです。
こちらは今回白色で仕上げ、遮熱効果を上げました。
最後に全体を通して塗り残しなどがないか、しっかりと検査します。
写真の写っている箇所で、所々屋根にアクリル板が入ったままになっている箇所もありますが、こうした箇所のチェックも必須です。
足場を組む際に、外すこと無く作業が可能なアクリル板は、屋根をはずしません。
なぜなら、少しでも工事費のコストカットが出来るからです。
ただし、アクリル板は割れやすいので、こうした最終点検で傷など付けていないかを、工事前に撮った写真なども元にして、しっかりとチェックを行います。
関連動画 安全な足場を組むためのひと手間
足場解体後の検査
足場を解体すると、「これで工事が全部終わったのかな?」と思う方もいらっしゃいます。
実は、足場解体後も残工事というものが残っているのです。
今回の場合は、廊下に敷く長尺シートなどが残工事となります。
長尺シートは、足場を解体前に貼り込んでしまうと、足場解体時に汚れてしまうことがあるため、貼り込みを後回しにしました。
また、足場を建てる前に外したものなどもきちんと戻せているかも確認します。
今回の工事でマンション1階に住んでいらっしゃる方が、ベランダに洗濯機があり、今回の期間中、前回もそうしたことで、1ヶ月近くも家の中にしまって頂いたのですが、ずっとコインランドリーを使って下さり、最後まで快く協力してくださいました。足場解体後は、いの一番に洗濯機を元に戻させて頂き、御礼申し上げたのですが、どこの現場でもこのように率先して協力して頂けるわけではありませんので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
足場解体後は、足場によって傷が入った外壁やフェンスなどがないかチェックします。
このように足場解体前も、解体後もこのような徹底した検査、点検をすることがプロとして大切なのです。
塗装職人ができることとできないこと
足場解体前の検査や足場解体後の点検時に、お客様からご質問が出る場合があります。
例えば「あの出っ張っているところ、最後に直せない?」なです。
確かに最後のチェック時に気になって頂いたご質問ではあるのですが、工事内容に関係の無く、美観を補修する追加工事となってしまいます。
塗装工事というのは、あくまでも古くなった家を持たせるための工事です。
ですので、塗装工事をしたからといって、家が新築時に戻るわけではありません。
つまり補修工事は必ずしも美観がともなうわけではないのです。補修するために美観を損なうこともあります。
もしも美観の補修をするのであれば、またそれ用の工事が必要となるのです。
関連動画 防水工事の実物施工を展示する無人ショールーム
他にも…お見積もりに伺った際に「足場を無しにしてさ、梯子で補修工事できない?」と言われることもありました。
梯子は職人の両手の自由がきかないことと、安全性の面からよほど簡単な工事箇所でないかぎり行いません。
いくら工事費用を安くするためとはいえ、職人の安全性を無視するわけにはいかないのです。
また防水材について、防水材=雨漏りを止めると思い込まれている方も。
「あそこに小さい雨漏りがあるからさ、防水材塗って雨漏りが染み出ないようにしてもらえない?」
と言われたこともありました。
防水材は、あくまでも雨漏りの経路を絶って、補修工事をし、下地調整をした上で初めて効果が発揮されます。
補修もせずに雨漏りしているところを塞いだら、出口を塞がれた水が今度はどこから噴き出すか分かりません。
こうした、1箇所だけにスポットライトを当てた考えは、工事を迷走させることになります。
細かい点だけに注目をして、工事の全体を見ていないからです。
僕たち塗装職人は、プロだからこそ適当な工事はできませんし、しません。
きちんと最後まで完結出来る、全体をうまくおさめた工事をいつも心がけています。
なぜ他社の工事方法で塗装職人の工事ができないのか
最近では、ネットに沢山の塗装工事についての記事や動画などがあり、みなさんそうした情報を知った上でお見積もりにいらっしゃいます。
もちろん、塗装工事をする上でそうした知識は必要です。
しかし、多くの方は偏った情報や値段の事だけに着目して、それ以外の大事なことを無視してご依頼に来る方がいらっしゃいます。
最も多いのが、工事費用についてです。
「〇×塗装さんはこういう工事をやってこの値段だったよ。お宅もこの工事方法で安くしてよ」とおっしゃることが…。
これには、本当に困ってしまいます。
他社さんのやっている工事内容というのは、材料、職人の質、そして工事へのアプローチ方法すべてが違います。
もしも他社さんの工事方法を良いと思うのであれば、それらを提案している業者で工事をすべきなのです。
なぜなら、その工事方法を得意とする業者なのですから。
他社のやり方というのは、全ての業者の工事内容には当てはまるわけではありません。
パッと見同じ工事方法に見えますが、業者によって細かい工事内容の差があります。
この差が、金額にも繋がってくるのです。
例えば、上記であげた検査や点検などはその最たるものでしょう。
塗装職人の工事内容も、作業に照らし合わせてはじき出された工事費用ですので、安くするということは、何かしら工事の質を落としたり、検査や工事工程を無くしたりすることに繋がります。
僕としては、できれば金額だけを見るのではなく、工事内容も合わせて見て頂ければ…と思うのです。
今回のブログで紹介した、足場解体前の最終検査と、足場解体後の点検ですが、私たち塗装職人はプロだからこそ、しっかりとクオリティを保つ工事を追求しています。
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是非工事の内容について調べたり考えたりする際は、様々な方向から検討してみて下さい。
工事の値段だけではなく、家の状態、工事の内容、工事の方法。
これらに向き合うだけでも、より良い工事を行うことが出来ます。
その上で、私たち職人の声に耳を傾けてくだされば、きっとお客様が真に望む工事が出来るはずです。