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工事の安い高いがあるのは?足場工事から見る工事内容

By 2023年11月7日11月 19th, 2023防水担当の日誌

見積書を持ってお客様宅へ伺った際に、「なぜA社と塗装職人ではこんなに値段が違うの?」という質問を受けることがあります。

これは、とても簡単なことなのですが同じ材料を使っていたとしても材料の使う量、そして工事の内容、技術が違うのです。

パッと見はお得に見えますが、この安さは将来的に家にダメージがでます。

 

薄められた塗料では、どんなに塗料の性能が高くてもその効果は発揮されませんし、3回塗りのところを2回塗りにすれば塗膜が薄くなりやはり塗膜の効果が切れるのは早くなります。

今回のブログでは、足場工事という工事をするための基礎の基礎で、塗装職人がどのような作業をしているのか、気を配っているのかということをご覧ください。

見積書には載せきれない工事の内容を見れば、値段差にご納得頂けるのではないかと思います。

 

屋根上の防水工事

 

今回のブログでご紹介しますのは、先日ご紹介した世田谷区にある階段の踊り場の上に日差しのようなガラス屋根がついたマンションの工事のその後です。

関連記事  前回のブログ

デザインに優れた工事?費用の安さに特化した工事?工事の見るべきところとは

 

屋上工事をする上で、昇降用の足場を建てての工事計画となったのですが、実はこちらの建物にはそもそも屋上に上るためのタラップがありました。

お客様によっては、このタラップがあるのだから足場などは建てずに、タラップを使って屋上に上り工事をしてほしいと思われる方もいらっしゃるでしょう。

 

しかし、このタラップは子供などが登れないように、途中から設置したあるものでした。

これでは、作業員が刷毛やバケツを持って両手なり片手なりが塞がってしまうと、安定して上ることができません。

さらに、タラップがついているのは屋上の端ではなく真ん中。

屋上の防水工事でのBESTな状況は塗り跡が出ないように端から作業をスタートさせて、最後には逆側の端から職人が脱出をします。

しかし真ん中に出入口がある場合は、屋上を半分にして左側と右側の端から真ん中の出入口に向かって作業することに。

 

こうなると、どんなに熟練の職人だとしても、左側と右側から真ん中へ向けて始めた防水が交わる際に塗り跡が出る可能性が生じます。

そのズレは、あまり綺麗とは言えない仕上がりになりますし、何よりも床面の水の流れを妨げてしまうことが……。

そしてさらに、これ以外にも足場を組むのには理由があります。

 

足場を組む理由とは

 

実は足場というのは、お客様が見積書で見た際に一番高いと感じるポイントのようです。

見積書を持って行った際に、「足場なしで作業できない?」とご質問を受けることが、たまにあります。

この足場というのは、一見するとただ職人たちが上り下りするだけで、梯子で作業しても同じことができるのではないかと思われがちですが、工事をする上では大きく違います。

 

例えば、道具の上げ下げです。

先ほどもお話しましたように、こちらのタラップは中吊りになっているため、両手に塗料の缶やその他の材料を持った状態で梯子を上ることは不可能となります。

タラップでは足元が安定せず、上る際に持てる道具の個数も少ないため、足場があれば数時間で済んだ屋上への道具の上げ下げが半日かかってしまうことも。

 

梯子作業も同じ理由でおすすめできません。

梯子作業は、やはりタラップと同じく塗料缶と刷毛を複数持つことができないため、作業時間がかかります。さらに外壁塗装の際には足場のように塗料缶や部材を置くスペースもないので、そのたびに降りては道具を変え…時間がかかってしまいます。

梯子は下から上への移動はできますが、横に移動しようとした場合には、いちいち掛けなおす動作が必要となります。これにもまた時間を取られ、かかった時間分の工事費用が発生するのです。

足場であれば梯子をかけなおす時間が必要ないため、梯子作業よりはぐんと時間を短縮できるでしょう。

 

関連動画 足場を組んで行った屋上防水工事

そして、足場には養生シートを張ります。

この養生シートも、塗装工事や防水工事には非常に大切です。

養生シートは、塗料や水、粉塵の飛び散りを抑え、さらに作業員が移動する際にセーフティーネットの役目もします。

作業員の安全というと、それは工事する側だけの安全性のように思いますが、職人の安全が守られるということは、お客様の家で事故が起こらない…ということにつながるのです。

 

考えてみてください。もしも足場を建てなかった工事中に落下事故が起こり、最悪職人が亡くなってしまったら…。自宅が死亡事故現場になってしまいます。

足場を組むことには、これだけの意味があります。

確かに金額面では少々高く感じることもあると思いますが、これも工事を円滑に進めるための大事な工程なのです。(この現場は昇降が主)

 

ここまで、他社との値段差の説明や、見積書には載らない工事内容の説明として足場について解説をいたしました。

ここからは、さらに足場工事の実例を参考に工事内容をご説明したいと思います。

屋上の防水工事で足場を建てる際に、どんなことに気を付けているのかご覧ください。

 

足場代をかけるからこその時間短縮をするために

 

今回の工事では、タラップを使わず足場をかけることになりました。

その理由は、いろいろあります。

一つ目は、防水工事をする際に端から端まで一筆書きのような工事をするため。

職人の足跡を残さぬよう、屋上の端から工事を始めて、最後は足場に体を避けた状態で防水材を塗布するために足場が必須でした。

足場で職人の逃げ場を作ることで、水の流れを妨げない鏡面のような防水層が出来上がるのです。

 

二つ目は、今回の足場にはホイストの巻き上げ機も搭載するため。

これは、荷揚げの際に使うのですが、階段を使って部材を荷揚げするのと所要時間と正確性に雲泥の差が出ます。

もしもこのホイストを利用しなければ、防水工事は非常に道具や部材の多い工事のため、半日以上荷揚げだけに時間を要していたでしょう。

また足場があることで、屋上にある荷物を避難させることができます。

そして、その他にも足場を組んだ理由がありました。

それは居住者の方の利便性です。

実はこのタラップは屋上の真ん中にあり、下ろしてみると居住者用の出入り口の真ん前に降ります。

もしここを工事中塞いでしまったら、居住者のかたの出入りができなくなってしまうでしょう。

 

これも、マンションの防水をする上では避けなければならないことです。

新築工事と違い、私たち塗装職人が行う工事は家の中に居住者の方がいらっしゃる状態で工事をします。

居住者の方の安全や、生活導線を極力邪魔しない内容に工事することは、とても大切です。

ですので、足場を組むことで居住者の生活が不便にならないようにする必要がありました。

関連動画 マンション足場 設置から解体まで

もしもこれらを無視して、足場を組まないで工事をしていたら…。

足場代以上に、工事の日数がかかったことで費用はふくらみ、居住者の方に迷惑をかけ非常にストレスフルな現場になっていたのではないかと思います。

本当に今回は、オーナー様に足場を快諾頂けてよかったと思いました。

 

足場工事で気を付けること

 

足場は、ただ建てればいいというものではありません。

建物にあったサイズの足場を建て、養生ネットを張り、安全帯の取り付けも行う。

こうした基本工事以外にも足場を建てる際に気を付けるべき点があるのです。

例えば、足場に上るための梯子と地面の接地面一つとっても気を使います。

この建物は地面にタイルを敷き詰めていますので、足場や梯子の金属で設置することで割れることなどがないように養生が必要でした。

さらにベランダなどに挟む壁換え部分も、スポンジを当て建物が傷まないように気を配りを。

足場の接地面ひとつにも、気遣いができるかどうかということで仕上がりに差がでます。

足場を建てるために必要な工事計画とは

 

そして足場工事をさまざまな方面から考え実行するためには、その後の工事をすべて見越した工事計画が必要となります。

これもまた、工事内容に大きく関わります。

お客様は僕と打ち合わせをし、工事計画を立て…この立てた工事計画を実行するのは職人です。

 

今回は防水工事を担当するのは、僕と同じ苗字の松尾なのですが、念入りに現場を見てもらい工事のシミュレーションをしました。その上で、この足場工事が実行されたのです。

さらに工事開始後は、要所で作業が計画通り行われているか、僕がチェックをします。

こうした手間は、省ける内容でもありますが、きちんと打ち合わせを行い現場で確認することが工事内容の質を大きく変えることになるのです。

今回は雨漏りの原因となっているガラスの天窓のような庇部分にも注目しました。笠木はステンレスとタイル壁の間をシールで結合しているのですが、亀裂が入っています。

ステンレスは熱膨張するためひどいときは数センチ動くため、この動きにシーリングが付いていけなかったのです。

そのため、シールは見るも無残な状態に。

接続部が切れているため、このままでは水を飲んでしまうね…と松尾が言っていました。

 

そこで、ここには変成シリコンでシーリング工事をし直します。

昇降足場でも外側から防水を確認することにより工事の精度があがります。

 

かけるべき費用をかけ、中身の詰まった工事をするということ

 

前回と今回のブログに亘って紹介してきた足場工事についての徹底解説、いかがでしたでしょうか。

ただ屋上の防水工事だからといって、流れ作業のように与えられた指示書通りに工事をすることは、弊社では工事と呼びません。

ましてや、工事費を安くみせるために工程を抜いたり、手を抜いたりなんかはもってのほかです。

家の状態やお客様の生活導線、職人の動き、そして安全、部材の搬入方法や避けるための避難所、そしてなによりもお客様のご希望をきっちりと現場に伝えるための綿密な打ち合わせ。

そのすべてが一体となって、土台となる足場が建てられ、質の良い塗装工事となるのです。

関連動画 このマンションの屋上防水工事

 

是非一度、小さな工事でもかまいませんので弊社の徹底した工事をご覧になってみて下さい。

密度の濃い工事内容では、どの業者にも負けません。