目次
今回のブログもガラス屋根のあるアパート屋上工事の続きです。防水を打つまでの下地準備について本日は書きたいと思います。
なぜこの工事をここにするのか、弊社では工事する理由が明確です。
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このブログでは、実際の工事の写真を踏まえて細かな工程をご紹介したいと思います。
シールの打ち分け
足場も組み、高圧洗浄や補修、プライマー塗装も終わりましたので、いよいよ防水工事です。
先日のブログでもお話したとおり、笠木にステンレスが使用されていることで、シーリング部分に断裂が起こっていました。
また、前回の塗装工事で別の業者が防水工事の際に取り付けたであろう脱気筒もすでに役目を果たし終え、尚且つ脱気筒の通気シートの下に水が入ってしまっていましたので、旧脱気筒を外し、穴を塞ぐことに。
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今回は再度通気緩衝シートを使用しますので、工事としてペアとなっている新しい脱気筒の設置も行います。
これらの作業を進めるために、まずは下準備です。
最初はシールの打ち分けを行います。
ステンレスの笠木と壁の立ち上がりの間に打つ白いシールが、ウレタン防水の下になる『捨てシール』。このシールは太陽に当たると劣化しやすいため、防水層の下に打ちます。
次に笠木の上に打つグレーの変成シリコン。
変成シリコンは紫外線に当たっても劣化しないため、露出したままにすることが可能です。床や立ち上がり部分に塗る防水材と、色合わせをしています。
またガラス屋根部分のシーリングは、元々打ってあるシーリングをカバーする形で打つことにしました。
変成シリコンは紫外線に当たっても劣化しないため、露出したままにすることが可能です。床や立ち上がり部分に塗る防水材と、色合わせをしています。
またガラス屋根部分のシーリングは、元々打ってあるシーリングをカバーする形で打つことにしました。
こちらの写真をご覧下さい。
元々のシーリングが、ガラス屋根の隙間の凹み部分に打ってありました。
そのため、雨水が溜まりやすくなっておりここもまた雨漏り原因の一つとなっていたのです。
そこで、蓋をするような形でシーリングとしてシリコンを打ち、さらに水抜き穴を作成するために、ドレーンのようなものを入れ隙間をあけて打ちます。
なぜ水抜き穴を作るかというと、ガラスは気温によって膨張や収縮をします。
それに引っ張られる形で今回表面に打ったシリコンが切れてしまう可能性があるため、万が一切れた際に水が入り込んだとしても、水抜き穴から水を排出できるようにしたかったのです。
ガラス屋根は、この工事をするきっかけにもなった雨漏り原因をはらんだ屋根です。
さまざまな可能性を考えてシーリングを打つことで、この先10年の家の持ち方が変わります。
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通気マットを重ねた理由
次にご紹介するのが、通気マット、通気緩衝シートの張り込みです。
今回の現場ではすでに前回別の業者が行った防水工事で、防水層の上に通気緩衝シートが施してある床面でした。
通常通気シートが入って敷いてある防水層の場合、その上に防水材を重ねて工事をします。
今回の床面も、業者によっては防水材をそのまま塗る重ねるところがあるでしょう。
しかし、今回の床面をよくよく見ると、通気緩衝シートの破れが見つかりました。
脱気筒の下や、笠木部分からつながった部分など…。シートが断裂してしまったことで、中に水が入り溜まった状態となっています。
いくら通気緩衝シートが入っているといっても、破れて水が入っているのでは意味がありません。
そこで、いろいろとメーカーなどに問い合わせ最良の方法を探し、新しく上に通気緩衝シートを重ねることで破れた部分をカバーし、前回の脱気筒は埋め新しく脱気筒をつけることとなったのです。
もちろん通常の防水工事よりも費用はかかりますが、今回しっかりとシートの破れをカバーできれば、次回からは防水層を重ねるだけで済みます。
お客様にも説明をして、ご納得いただけました。
たまにではありますが、見積もり依頼を頂くお客様の中には、相見積もりという名の「値段比べ」をする方もいらっしゃいます。
その場合には、こうした通気緩衝シートの工事を追加するということは、値段比べでは負けを意味するのです。
もちろん仕事を取るために、通気緩衝シートを重ねるという工事をせずに、ごまかすような防水工事を提案することもできます。
しかし、それでは数年後には通気緩衝シートの下にたまった水が雨漏りを引き起こす可能性が…。
たしかに、現在は他の業者の工事よりも費用がかかるでしょう。しかし、10年先を見れば手の施しようも無くなった屋上は今以上に費用がかかってしまうことが予想できます。最悪の場合は…手の施しようが無くなってしまうことも…。
そうならないためにも、今回の工事で打てるだけの手を打つことが、僕は大切だと思うのです。
ここまで、防水工事の下準備としてシールの打ち分けを行ったことや、通気マットを重ねて工事する理由などをお話しいたしました。
ここからは、いよいよ工事内容についてお話し致します。
通気緩衝シートの貼り方にも、シートの機能を少しでも活用するために工夫を凝らしておりますので、ご覧下さい。
通気緩衝シートの貼り方
今回は旧通気緩衝シートの破れをカバーするために、さらに通気緩衝シートの張り込み工事を行うことに致しました。
緩衝シートは貼り重ねる際に、工事用語で『ツキツキ』といって端と端がぴったりくっつけるように貼り付ける方法もあるのですが、それですとシートとシートの隙間から上に重ねるポリウレタンが入り込んでしまい、通気シートの通気部分を塞いでしまいます。
そこで、端を5センチほど重ねて通気シートに隙間ができないようにするのです。
さらに重ねた部分は、上記の写真に写っているジョイントテープで貼り付けます。
このジョイントテープは、真ん中が救急絆創膏のガーゼ部分のようになっていて、真ん中だけ接着しません。
通気緩衝シートを重ねた部分に、接着しない部分をかぶせることで、通気緩衝シートの効果を最大限引き出すことができます。
さらに端末処理として、壁際にはエンドテープで接着を。
工事用語『ドンドン』といって、端までシートを張り込む方法もあるのですが、通気緩衝シートは端をくっつけません。
エンドテープで留めて、処理します。
前回の工事では、このエンドテープを使っていませんでした。そのため、通気層の端からも水が浸入していたようです。
シート同士をつないで、シートと旧床面の隙間は点張りをすることで床面との隙間をあけながらも、外部から入る水はシャットアウトする。
それがこの通気緩衝シートを貼る上でもっとも大事なことです。
長辺と、短辺の端もピラピラとしないようにします。
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下地の補強を行う
防水材を流す前に、さらにシーリングが切れていた部分なども、補強します。
先ほどエンドテープや、ジョイントテープは接着材がついたものでしたが、笠木部分には接着材のついていないメッシュシートをかぶせることに。
このメッシュは、ストッキングのような素材で、ステンレスの膨張にもついていくことができます。
そこで、床面の立ち上がりと、このステンレスの笠木を一体化させるために、メッシュで巻きながら、防水材を塗り込んでいきます。
下地に張り込んだシリコンや、このメッシュを用いた防水材の塗り込みによって、亀裂がはいるのを防ぐのです。
防水材の塗装
さて、いよいよ防水材の塗装工事、ウレタン防水を使った工事です。
このウレタンには床面用と立ち上がり用の2種類があり、それぞれ塗る箇所が変わります。
流し込める場所には、湯煎したチョコレートくらいの硬さである床用のウレタンを。
壁の立ち上がりや笠木の上など、垂れる心配のある箇所については生クリームくらいの硬さのある立ち上がり用のウレタンをそれぞれに塗ります。
この塗料も、ただ塗ればいいかというとそうではありません。
前半のブログでご説明しましたジョイントテープなどが、ここでは意味を持ってきます。
ジョイントテープは、メッシュ素材になっており、ウレタンを流し込んだ際にはメッシュの穴に塗料が入り込みますので、接着部分もカバーする形で密着して覆うことができます。
しかし、ジョイントテープの真ん中部分は下に塗料が染みこまないようになっていますので、塗料が通気緩衝シートの通気を妨げることはありません。
このように、塗料を流し込むことも考えて、シートの端末処理を行うことが必要なのです。
脱気筒の周りには、立ち上がり用のウレタンを使います。
しっかりとメッシュに染みこませて、脱気筒の周りの塗り込みを。
この写真のように、室外機にもそれぞれ「ウマ」と呼ばれる足をつけて、床面に塗り残しがないようにします。
屋上という場所ではありますが、部材の特徴や欠点などを補うためには、変成シリコン、シリコン、ポリウレタンなどさまざまな種類のシーリングの打ち込みが必要です。さらに通気緩衝シート、ジョイントテープ、エンドテープなどを使い分け、未来のトラブルにも対応します。
これが弊社の防水工事なのです。
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大事な防水工事 業者を選ぶ基準とは
防水工事をネットで検索した際に、お客様は工事のおおまかな内容と値段で業者を選ぶと思います。
それだけ、防水工事というのはわかりにくい工事だからです。
今回の通気緩衝シートの工事が良い例ですが、業者によっては今の状態さえ維持できればいいと考え、追加の通気緩衝シート工事を提案しないところもあるでしょう。
しかし、放置するだけでは状況は変わりません。それどころか悪化の一途をたどっていきます。
このブログを読んで頂ければおわかり頂けるように、一口に防水工事といってもそのやり方はさまざまで、家によって工事の方法はさまざまです。
そしてトラブルに対するアプローチも、さまざまな方法とその副作用があります。
だからこそ、僕は検討に検討を重ねた工事方法をお客様にご提案をするのです。
前回のブログでも書きましたが、相見積もりという名の「値段比べ」で業者選びの基準にする方がいらっしゃいます。
しかし、これは危険な選び方です。
家に合った工事をしてもらうためには、業者の工事の考え方や力量も必要となります。
是非見積もりを比べる際には、値段を比べるのでは無く工事の内容で比べてください。
そして工事内容について、なぜその工事が必要なのかということを質問しましょう。
内容を理解した上で、比べることが大切だからです。
工事の内容の取捨選択は、お客様に権利があります。
防水工事は家を守るための要です。だからこそ、業者を選ぶ基準をきちんと考え、最良の判断をして頂ければと思います。