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神奈川県

ウレタンの屋上防水と爆裂と外壁タイルシールの補修

種別防水, タイル, シール
箇所屋上, 外壁
施工前 施工後

屋上にトップライトが設置されている3階建て鉄筋コンクリートのマンションです。

現地調査診断と見積り

こちらのマンションは、廊下・バルコニーの天井の塗装面の劣化、外壁のタイル面のシールの劣化、屋上の防水は水が回って膨れが起きている箇所があるのが分かります。他にもバルコニーのハッチや外のパネルも錆びてしまっているので、処理をし塗装の塗り替えが必要です。

建物自体の階数が少ないですが、色々と施工箇所があるので低層マンションではありますが中々密度が高い大規模修繕工事です。

壁には爆裂といって外壁にできたクラックなどから水が入り込み壁面内に雨水が回り、躯体部分である鉄筋が錆びて膨張することで、内側から外へ破けてしまう症状などがでていました。それ以外にも壁のヒビや、窓周りのシーリングの破断などなど。

屋上の防水も寿命を迎えており、まさに今再塗装をするのに適切な時期です。

オーナー様がご心配なさるのは雨漏りなどもそうですが、こうしたタイル張りの壁の場合タイルの欠落を一番ご心配なさります。
タイルが欠落した際に、通行人や住人の方にケガをさせてしまったら、最悪の場合訴訟問題となってしまうからです。

またよく見るとベランダの非常用ハッチも錆びていることから、このハッチがステンレス製ではなく鉄製のハッチだということも分かります。

少し前までは、こうして錆びやすい部分にも関わらず一番安いという理由だけで鉄素材が使われていました。

こうした錆から、鉄部がだめになって塗膜がはがれ、そこからさらに壁の中に錆がひろがりシールなどもだめになります。さらにはや雨漏りの原因にもつながるのです。

本当は、症状が出る前に塗装工事をすることで、ここまでの大改修工事にはならないのですが、どうしてもワンオーナー様のマンション物件は、分譲タイプのマンションとは違い、お一人で改修費用をすべて捻出するため、小まめな補修工事ができない場合も。

症状が出たからこそ見つかる原因もありますので、そうした部分を丁寧に拝見し、お客様のご希望に添うように工事計画を立てさせて頂きました。

周囲に足場が組まれたら作業開始です。

タイル面シール

タイル面のシーリング工事です。

見て分かる通りシール材の劣化が酷く、目地に埋まっていないといけないシール材が剥がれてしまっています。
足場が組まれた後、水洗いから始まる事が多いです。しかしこのように目地シールが剥がれた箇所が多い場合、専用の機械を使って高圧洗浄をする水洗いを行ってしまうと、劣化したシールが剥がれた目地や窓枠サッシから水が回ってしまうので先にシールの打ち換えから行います。

【外壁タイルのシールの参考動画】

既存のシール材のひび割れ劣化が激しく、プライマーで接着していない箇所も多く撤去作業は楽に進みましたが、完全に隙間ができている箇所もあり雨漏りの危険性もかなりはらんでいました。

撤去が終わったらラスター刷毛(手のひらサイズの刷毛。様々なサイズがあります)を使い目地の清掃を行った後、マスキングテープで養生をします。
養生が終わったらプライマーを打ち込み乾燥させ、シール材をガンで充填しヘラで押さえて完了です。

タイル・注入工事

シールの打ち換えが終わった後は下地作業に入ります。

この現場にはタイルの欠損やひび割れが無く、タイルの浮きのみだったので剥離防止のための浮いた箇所の補修を行っていきます。

 

【外壁タイルの浮き調査の参考動画】

タイルの浮きは躯体面とタイル面が密着していない状況で、それを『浮き』と職人は呼んでいますが、この浮きの何がマズイのか。
空洞化した箇所に水が溜まり、その水が躯体にダメージを与えるということもありますが、それ以上に怖いのが何かの拍子に浮いた箇所のタイルが落下してしまうことです。
大きな地震の後など、マンションなどの建物のタイルが無くなっているのを見た事があるという人もいるのではないでしょうか?

あれこそタイルが浮いてしまっている箇所が地震の衝撃で落下した後の姿で、また、地震で躯体とタイルが剥がれかかったものが後になって落下するようなことも起こります。
3.11の東日本大震災の時の横浜駅近くのビルの外壁タイルが激しく剥落していたニュースも衝撃的でした。

ただ建物の補修をするというだけでなく、そのような被害を減らし危険を回避するためという意味でも注入工事は必要なことが分かるかと思います。

逆に高さのない場所のタイル、現場によって変わりますが腰から下、膝から下のタイルの浮きはお客様の予算によっては補修しないケースもあります。

打診棒での検査でタイルの浮きを見つけたら、タイル4枚に1穴になるように目地に穴を開けていきます。

穴を開け終わったら、穴に溜まった埃を取るにエアダスターなどを使い、中の埃を吹き飛ばして行きます。この中に溜まった埃というのがなかなか厄介で、埃を取らない、もしくは掃除をしたつもりが中に埃が残っていたりすると、湿気などで埃が中で固まってしまいエポキシを注入することが出来ません。なのでこの掃除は簡単にササっとではなく、1穴に対し結構しつこくやる職人が多いです。

穴の掃除が終わったらグリスガン(注入ガン)という専用のポンプを使いエポキシ材を注入していきます。

【注入ガンにエポキシ樹脂を入れる参考動画】

白い布のようなものが見えるかと思いますが、注入はポンプを使い圧をかけてタイルの中にエポキシを注入するのですが、このウエスが無いとタイルの中にエポキシが入らず穴の隙間から流れ出てしまうためこのウエスが必須となります。
いわゆるパッキンのような役目です。

注入が終わったらステンレスピンをエポキシを注入した穴に差し、目地材で穴を埋め戻し、埋め戻した際に周囲についた目地材を拭き取って完了です。

【エポキシ樹脂注入による外壁タイル補強の参考動画】

塗装面の爆裂補修

塗装面の爆裂補修工事です。

バルコニーの天井の上裏(あげうら)の、モルタルの中の鉄筋が錆びてしまい、錆が膨らんで周囲のモルタルを浮き上がらせてしまっています。
これもタイルの浮きと同様、いつ落下してケガ人を出してもおかしくありません。斫って浮いたモルタルを撤去し補修していきます。
共用廊下にも爆裂を起こしている場所があったのでバルコニー同様そちらも直していきます。

【爆裂補修の参考動画】

また、躯体と塗装の間に水が回り塗装が浮いているのでそれもキレイに剥がし直します。塗膜補修は塗膜を剥がし、ウレタン防水の絶縁作業で使うフィーラー材(フィラー材とも言います)を塗り込めば完了です。

水洗い

シール打ち換えと下地が終わり、建物に水が回る心配が無くなったら水洗いで建物をキレイにして行きます。

写真でもかなりの水圧なのが分かるかと思いますが、これ以上に圧をかけることが可能です。しかしタイル面では必要以上に圧をかけて洗浄すると、タイルに割れたりヒビが入る、もしくはタイル周りの目地が割れてしまうので適度な圧で清掃する必要があります。

【外壁タイルの汚れ落とし参考動画】

屋上防水

サラセーヌによる通気緩衝工法です。QVシートを貼ってウレタン2層のトップコート仕上げです。

施工前・下地処理

外壁の補修工事と水洗いが終わったら屋上の防水工事に入ります。
最初は既存の防水シートの撤去からとなります。

笠木の下にアルミアングルがあるのが分かります。撤去作業の場合、一番最初に手をつけるのはこのアルミアングルの撤去からですね。

周囲のアングルをぐるっと一周撤去したら、シートの撤去です。この時にドレンも撤去しておきます。

 

 

【既存防水層の撤去に関する参考動画】

シート撤去が終わったらフィーラー材で絶縁し、それが乾いたらプライマーを塗り込んでいきます。このフィーラーは絶縁が一番の目的ですが、乾けば数日程度なら防水効果も期待出来ます。その日に次の作業へ移れず翌日に作業を持ち越す場合、このフィーラーを仮防水としますが、極端に長い期間の防水に期待出来るわけではないので、出来るだけ早く次の作業へ移りたいところです。

また、翌日へ作業へ持ち越す場合、天気が良い日の作業だけとは限らないため立ち上がりのシートの撤去だけをし、土間のシートを敢えて残して土間のシートの上からフィーラーを被せることで仮防水とすることが多いです。

その間に大雨や台風が来たら厄介なことになります。

下地のモルタルを剥き出しにして現場を離れることはまずあり得ません。

撤去作業を翌日へ持ち越した場合、既存のシート撤去作業から始めます。職人が複数人いる場合は、一人がこの間に新規のドレンの設置をすることが多いです。

【ドレンの設置とプライマー塗布の参考動画】

シート撤去が全て終わったらフィーラーで絶縁し、プライマーを塗り込みその上からウレタン防水層の通気を作るシートを貼り、土間一面にシートを貼り終えたら端末テープでシートの下に雨水や、これから流すウレタンが流れ込まないようにしていきます。

シート下の湿気の逃げ道を作るために脱気筒の取り付けをします。

シートの下の湿気が漏れてしまわないように、メッシュを貼り付けウレタンを被せておきます。

笠木、立ち上がりにメッシュを入れてウレタンを1層、2層と厚みが出るように塗り込んだら土間のウレタンを流す準備をします。

【通気緩衝シート貼りの参考動画】

使用防水材料

写真に写っているのが実際に土間へ流すウレタン材料です。
サラセーヌのK硬化剤と主剤です。

これは一般的に土間用のウレタンで、他には立ち上がり用のウレタンがあります。
両者の違いはウレタンの『固さ』に違いがあり、土間用は柔らかく、立ち上がり用は固いです。そしてこの2種類の材料を使い分けながらウレタン防水を行っており、屋上の土間やバルコニーでは柔らかいウレタン、傾斜のキツイ場所や笠木、立ち上がりには固いウレタンを使うのが一般的です。
写真に写っている材料は主剤8キロと硬化剤16キロの2缶。丁度2対1の比率になっており、この2つを合わせて攪拌して様々な場所に塗り込んでいます。

【施工前から完了までのウレタン仕様の屋上防水参考動画】

この比率を間違うと硬化不良の原因となるので、きちんと計りを使って測量し、攪拌もしっかりと混ざるまできちんと行われています。

笠木、立ち上がりは小分けして攪拌して使うのが殆どで、笠木と立ち上がりが大量にある現場で一人しか職人がいなくても最悪対応出来ます。一人しかいないのに大量にウレタンを攪拌してしまうと、使い切る前に硬化してしまうので一気に大量に使うことはないです。複数人職人がいるような場合でも小分けにして使うことが殆どです。

逆に土間にウレタンを流す場合は一度に大量に攪拌することが殆どです。小さな現場であれば職人一人ということもあり得ますが、それなりの広さがある現場で職人一人で土間にウレタンを流すことはほぼあり得ません。
土間にウレタンを流すのはかなりの労力です。特に夏場は材料の硬化も早い為、土間を流す日は職人にとって戦場とも言えるような忙しさになることが殆どです。

ウレタン1層目・2層目・トップコート

脱気筒やドレンまでの下処理が終わったら土間にウレタンを流していきます。
写真くらいの広さの現場であれば、このウレタンを流す作業を一人で行うことはまずありません。複数人でウレタンを攪拌する人、ウレタンを流す人と別れていることが殆どです。

現場で屋上防水以外やることがなければ、1日に1層ずつしか流せないので作業が終わり帰宅するのが早いです。しかし土間にウレタンを流すのは待った無しなのでなかなか忙しく、入りたての若い職人にとってはかなりの重労働です。

土間にウレタンを流す忙しさと打って変わり、トップコートを塗布するのは体に負担のかからない作業となります。しかしこのトップコートもただ塗ったくれば良いという訳ではなく、デタラメに塗って行くとローラーの塗り後がハッキリと出てしまうので丁寧に塗る事が要求されます。

この現場で使われているトップコートはライトグレーと言われる色で、ウレタンと殆ど色が同じなかなかやっかいな材料です。ウレタンと殆ど同じ色のため、塗りムラがあっても気付きにくいため注意しながら塗っていきます。

トップコートを屋上のウレタン箇所全部に塗り込んで、ドレンにストレーナーを設置すれば屋上防水は完了です。

仕様

仮設足場

  • 仮設定場組み立て及び解体
  • 飛散防止用メッシュシート張り
  • アンカー処理
  • 昇降設備

外壁タイル補修

  • 外壁劣化診断調査(打診、目視調査)
  • 爆裂補修工事(施弱部除去後期モルタル成形)

シール工事

  • サッシ廻りシーリング
  • 水切りシーリング
  • 外壁目地シーリング
  • 貫通部等シーリング
  • 2成分形ポリサルファイド系シール仕上げ

屋上防水

  • 下地処理(既存防水シート全面撤去)
  • 仮防水(シート撤去部仮防水)
  • 下地処理(ケレン、清掃)
  • 下地調整(カチオン系樹脂モルタル)
  • 下地補修(既存防水層不良個所補修)
  • 入隅シーリング(ウレタン系シーリング材三角シール)
  • 平場防水(ウレタン塗膜防水通気緩衝工法
  • 立ち上がり防水(ウレタン塗頭防水空着工法)
  • 排水ドレン補強 (既存ドレジ撤去・改修ドレン新設)
  • 脱気筒新設(SUS製脱気筒仕様)